サグラダファミリア生誕のファサードには、その入り口を支える大きな2本の柱があります。
その2本の柱を静かに支える生き物は何か知っていますか?
そう亀です。
正確に言うと、海がめと山がめ。
何故ガウディは、「かめ」を柱の土台に添えたのかなと思ったあなた、必見です。
サグラダファミリアの柱に亀?内部の構造の意味も徹底解説!
世界的な建築家たちの中でも異才を放つアントニオ・ガウディの代表作は、サグラダファミリア(聖家族教会)ですね。
教会の中は、まるで自然ファンタジー、あるいは宇宙ファンタジーともいえる空間。
特に自然界のモチーフがとても細かく演出されています。
なぜでしょうか?
まず入り口で目に留まるのが、柱を支えるように置かれた亀さんたちです。
個人的にも、亀という生き物が好きです。
忍耐強く、少しづつ進む、ゆっくりだけど確実な彼ら・・いいですよね笑。
それではこれから、天才建築家、アントニオ・ガウディが伝えたかった柱を支える亀の意味とメッセージは何かをみていきましょう!
サグラダファミリアの柱を支える亀の秘められた意味
アントニオ・ガウディが、サグラダファミリア教会建設の主任建築士となったのは、彼が31歳のときでした。
この教会が建設されることになった理由はまた別にあり、実は当初の予定では、ごく普通のゴシック建築になるはずだったそうです。
でも運命の悪戯か、ガウディが指揮をとることになりました。
サグラダファミリアは贖罪教会
サグラダファミリアは「贖罪教会・しょくざいきょうかい」だと知っていましたか?
贖罪?難しい言葉ですね。
キリスト教の教えによるもので「自ら行う善行や、金品を無償で提供することで自らの罪を償う」という意味です。
サグラダファミリアの建築費用は、この贖罪をもとに払われることになっています。
1882年に着工してからいまだに未完成なのは、資金源の調達は、人々の寄付によるという前提があるためなのです。
贖罪教会と亀
贖罪教会と亀とは、実は深いつながりがあります。
建設を着工してすぐにガウディが手掛けたものが、亀の彫刻だったと言われています。
同じ種類の亀ではなく、海がめと陸がめの2匹で、海側に海がめを、山側に陸がめを置いています。
演出が細かいですよね笑。
亀に秘めたガウディのメッセージ
ガウディは次の言葉を残しています。
神は決して急がない、我々も急がず教会を作っていこう。
彼は、贖罪教会であるサグラダファミリアを完成させるためには長い年月が必要であることを知っていたのでしょう。
もちろん、自分が生きている間に完成しないであろうことも知っていたはずです。
それは、完成までの詳細を実に細かく資料に残していたことからも分かります。
ここまで見てきて、何故ガウディがまず亀を柱の下に置いた理由がわかってきた気がしませんか?
重い教会の柱を、静かに長い年月支え続ける亀の姿を見て、人々も同様に忍耐強く教会建築を支え続ける気持ちになってほしかったのです。
あなたは、どう思いますか?
亀のもうひとつの役割
実は、この亀さんたちにはもう一つのお仕事があります。
それは、亀の口が、雨が降った時に塔の上に水が溜らないように、抜け道にもなっていることです。
そういえば、よく見ると、亀の口には穴が開いていますね!
静かに重い教会を支えながら、雨の日は水が上に溜まらないよう、その口から水を流しだす彼らは、正にキリスト教精神を体現しているように思えてなりません。
サグラダファミリア教会の内部構造とその意味
教会内に入ると、スーッと天井が果てしなく高く伸びています。
背の高い木が生い茂る森の中に入っていく感覚です。
ガウディによる自然の摂理に従った技法
ガウディが言った次の言葉があります。
人は創造するのではない、発見するだけだ。
ガウディは自然の中にすべての答えがあると知っていました。
彼が造った柱や建築物に直線がないことはよく知られていますよね。
まっすぐではなく、すこーし曲がっています。
一説では、宇宙の引力をよけるためだと言われています。
引力というのはとても強い力です。
真っすぐだともろに受けるその力を、少し斜めにずらし、円を描くように曲げることで、そらすという技法を用いたのです。
建物への負担を減らしてあげるという、やさしい心から生まれたものです。
ガウディ創作の原点は自然
窓に関しても同様に、「普通に穴をあけて窓を造る」という入り方ではなく、まずはなぜ窓を造りたいのかの原点に戻ります。
窓から日の光を入れたいから。
では光が一番自然に入るにはどうしたらよいかと考えます。
太陽は東からのぼり西に沈みます、そこで、東からの光が一番よく入る場所に窓を造り、西に太陽が沈むときに一番光が入る場所に窓を造ったのです。
東側には様々な色合いの緑や青色の寒色系を、西側にはオレンジや赤色の暖色系のステンドグラス入れていますね。
窓側の通路を横から見ると、斜光がのびていくのが見え、実に言葉にできない美しさです。
このようにガウディという人は、もともとある自然のあり方にそって、無理のないやさしい空間をつくろうとしたのですね。
すべての真理がそうであるように、他の人や動物やすべてのことに愛情をもって接すると、自ずと素晴らしいものを築き上げていくことになります。
サグラダファミリアに行くと、すごい建物を造ったぞっという気合ではなく、森の中にいるような穏やかな気持ちになるのは、それが根底にあるからではないでしょうか。
教会の中はまるで風の谷のナウシカの腐海の森の底
ナウシカとアスベルが落っこちた腐海深部の、さらに下方に広がる化石の森は、汚染された大地の毒をとりこんで結晶化した腐海の木々が、枯れて砂になって降り積もって清浄化されています。そのため、マスクがなくても支障がありません。#風の谷のナウシカ pic.twitter.com/V3eyX5ld76
— ジブリのせかい【非公式ファンサイト】 (@ghibli_world) December 25, 2020
さて、サグラダファミリア教会の中にいて、あれ、この空間どっかでみたことあるような、と思ったことありませんか?
ジブリアニメの名作「風の谷のナウシカ」に出てくる「腐海の森の底」にそっくりなのです。
腐海の森といっても、毒のある外側ではなく下層部分、そう、ナウシカが偶然に迷い込み発見した、ピュアでコアな本当の森の中です。
そこは長い年月をかけて蓄積されていった枯れた植物や昆虫の死骸がフィルターとなり、人間が汚染した森を浄化していたのですよね。
その神秘的な森にとても良く似ていると思うのです。
宮崎駿監督が、サグラダファミリアを参考にされたなどの記事は見つからなかったので、実際にモデルにされたかは定かではありません。
ただ、宮崎駿監督のジブリ映画から伝わるメッセージと、ガウディ建築から伝わってくることはどこか似ていませんか?
どちらにせよ、ガウディ建築とジブリ作品、時代も表現方法も全く違いますが、これからも長い年月人々に愛され続ける不朽の名作であることは間違えありません。
サグラダファミリアの柱の亀と内部構造の意味のまとめ
ここまでサグラダファミリアの柱をなぜ亀が支えているのか?
サグラダファミリア教会の内部構造の根本にあるガウディの自然観についてお話してきました。
いかがだったでしょうか?
ガウディという人物像が少し見えてきたのではないでしょうか?
ガウディの人生は決して幸せに満ちたものではなかったようです。
建築家としては、当時世界的に著名な資産家であったグエルというパトロンに見いだされ、次々と斬新な作品を創り出し、その名を知られることになりました。
しかし、もともと内向的で恥ずかしがりやな性格であったため、女性に恋をしても打ち明けることができず一生独身でした。
サグラダファミリア建築は彼にとってのライフワークでしたが、そのストレスは大変なもの。
ある時、精神的に追いつめられたガウディは、何も食べられなくなるというショック状態になったことがありました。
この危機を救ってくれたのが、いつも通っていた教会の神父だったそうです。
それを機に、彼の神への信仰はさらに深いものになっていったそうです。
晩年に、ガウディが路面電車に轢かれて亡くなったことは有名ですね。
サグラダファミリアでの仕事を終え、いつも行く教会に祈りを捧げに行く途中だったそうです。
ガウディの墓は、サグラダファミリアの地下聖堂の下にあるって知っていましたか?
きっと、教会が完成に向かう様子を亀のごとく辛抱強く見守っているのでしょうね♪
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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